幸せだったけれど、許されない恋愛

私が10年ほど前にお付き合いしていたのは既婚者でした。当時私が働いていたレストランの常連様。彼は単身赴任中の身で、奥様と子どもとは別々に住んでいました。毎月一度は帰るようにしていると言っていましたが、重要なポストについていたこともあって帰れないときもあるようでした。
彼は私より20歳以上も年上で結婚していることも知っていたので恋愛対象としては全く考えていなかったのに、いつしか一緒に過ごす時間が幸せに思えるようになっていきました。
私が彼と特に親しくなったキッカケは絵画でした。お互い美術館に行くことが好きで、しかも好きな作風も似ていたので、自然とそういった話で盛り上がるようになりました。あるとき、近くで大きな企画展が開催されることになりました。田舎なのでこんな機会はめったになく、行きたいななんて話しをしていたら、彼がチケットを手配してくれたんです。そしてぜひ一緒に行きましょうと誘ってくれました。
当日は美術館に行って、素敵なレストランにも連れて行ってくれました。そして、そのまま彼の家にお泊り。
自分がまさかこんな状況に陥るなんて思っていませんでした。絶対に駄目だと思う反面、止められない自分もいて。彼の部屋に置いてあった、少し不恰好なツルの折り紙は子どもがプレゼントしてくれたものなんでしょうね。を見るたびに罪悪感にとらわれました。いけないと思いながら彼の家に通う日々は、幸せだったけれど辛かったです。
いつか彼にはっきりと言われたのは「僕には帰る場所があるから」ということです。彼には待ってる家族がいるし、私とは遊びだと宣言していました。私もそれを承知していたんですけどね。彼のことを奥様や子どもから奪うつもりはまったくなかったし、いつか終わらせなくちゃいけないと思っていました。
当時、私はちょっと色々あって人生のどん底にいたんです。誰でもいいからギュッと抱きしめて欲しかった、なんていうのは言い訳ですよね。
結局彼が再び転勤になり関係は終わりました。彼が転勤することを聞いたとき、寂しいというよりもホッとした気持ちのほうが大きかったです。それ以来一度も連絡を取っていません。
この思い出はもう封印です。